Aug.2025
ー山本総支配人はもともと広島の方でいらっしゃいますか?
出身は東京の目白です。広島に来る前はグアムのウェスティンリゾート、札幌のシェラトンホテル、その次に神戸のシェラトンホテル勤務を経て広島に来ました。当ホテルの開業は2011年3月28日ですが開業準備のためにその前年7月に来ました。今ちょうど14年くらいですね。広島勤務以前ですが、しまなみ海道などにはバイクツーリングで何度も訪れているんです。瀬戸内海の多島美は本当に素晴らしいですね。
ーシェラトンができた当時と今とは全然景色も違いますよね。
当時はまだ少し田舎っぽかったっていうか、建物もあまりなかったですね。
道路を挟んだ向こう側のビルやマンションもまだ出来てなくって更地が多かったのを覚えています。
ーずっと見てこられていかがですか?
そうですね、ずっと見てきたので、あらためて違和感はないんですけど、思い返せば大きく変わりましたね。印象が大きいのはペデストリアンデッキが出来た事ですね。
ー人の流れに変化はありましたか?
どうなのかな?例えば近隣に新しいレストランが出来てお客さんがみんなそっちに行ってシェラトンに人が来なくなったかというと、それはなかったですね。
シェラトンにはシェラトンのお客様がお越しいただいていました。広島駅から雨に濡れずにうちのホテルに来られますからね。
この10年の間に広島駅南口にも多くのホテルが開業していますが、当ホテルの稼働はコロナ禍を除いてずっと右肩上がりで来てるので、広島全体にそういう需要が増えてるんじゃないかなと思いますね。
ー14年の間に山本さんの広島への印象に変化はありましたか?
東京にいた時の広島のイメージってちょっと怖い街なんですよ(笑)
神戸で勤務していた時は社内に広島出身の人がいたんですが「ちょっとやんちゃな人」だったんですね。だから広島に転勤になると聞いたときはそんな事から色々と想像しましたね。
実際に2010年の7月に初めて広島に来て、最初に行ったのが100メートル道路辺りでした。その時はガランとして人も車も通行量が少なかったですね。駅の周辺もあまりこう賑やかな印象がなかったから、広島って想像とは全く違って質素というか派手な感じが全くしなかったんですよね。
でも今の再開発とともにこの数年広島の変化を見てると、活発になってきているっていうのは、すごく思ってるんですよね。北口がこれだけ変わったから、これから南口のペデストリアンデッキや路面電車の乗り上げが進めば、さらに人と人の交流が増えて賑やかになるんだろうなっていうのはあります。
―広島はインバウンドも増えています。
広島は2016年に当時のオバマアメリカ大統領が来て、世界に向けて広島と平和が再発信された時から、特に欧米からのインバウンドが増えています。
ただ、当時はアジアからはまだ少ない印象でしたね。コロナ禍前で広島空港にもアジアからのフライトはありました。ただ、夕方に到着する便が多かったんです。一方、福岡や大阪は午前中に到着する便が多かったので、どうしても観光客はそちらに流れてしまったんですよね。同じ日に着いてすぐ観光を始められるかどうかは大きな差ですから。
しかし最近では2023年のG7開催も大きなきっかけになって、アジアからのインバウンドも増えてきています。アジア各国からのフライトも復活していますし新規就航路線もあり、これからますますアジアからのお客様も増えていくでしょうね。
―外国人観光客にとっての広島駅周辺はどういった場所でしょうか?
欧米からの旅行者は広島にはほとんど新幹線で来られるんです。そうすると必然的に広島駅で降りることになります。駅周辺が便利で過ごしやすいことは、やっぱり大事ですね。
あと観光客ではありませんが、広島にはビジネス目的の外国人も多く来られます。シェラトンにも海外からの出張利用が年間数千泊程度あります。だからレジャーだけでなく、ビジネスでも駅周辺は重要なエリアになっています。
―駅の周辺ではホテルの役割も重要になってきますね。一方課題もありますか?
課題のひとつは、空港アクセスですね。高速道路などでトラブルがあると空港行きのバスが止まってしまいます。JR利用でのルートもあるんですが、外国人にはわかりにくい。
あと、これは観光客に限ったことではないのですが、「安心・安全」が何よりも大事だと思っています。非常時に対応出来る環境の整備が重要です。
—来街する全ての人に対してですね。具体的になにかアイデアがありますか?
あくまで個人的な意見ですが、南口の地下広場に災害時に備えた物資の貯蔵庫のような施設があっても良いと思っています。今後南口にペデストリアンデッキが整備されれば通行者の動線は地上がメインになる事が予想されます。地下を有効活用するという意味でも緊急物資を備蓄するのは良い使い方ではないかと思います。
以前テレビで見たんですが、たしかフィンランドに世界中の危機に備えて物資を貯蔵する施設があるらしいんです。それを見て「やっぱりこういう備えが大事だな」と思いました。広島駅周辺も、何かあった時に避難できる場所や物資があると、安心できますよね。
―少しホテルの事をお聞かせください。
シェラトンのブランドスタンダードは“World gathering place”です。単なる宿泊施設であるだけでなく、その土地の文化や人とつながる“ハブ”のような存在です。
当ホテルでは宿泊やレストラン利用のみならずに、日本そして広島ならではの文化に触れてもらえる場を提供しています。例えば、地元企業とコラボレーションしたイベントを毎月開催して、地元のお菓子とユニークなアイスコーヒーを提供したり、地酒を振る舞ったりしています。
イベントは宿泊されていない方でも、地域の方がふらっと立ち寄って楽しめるようにしています。すべて無料で提供していて、「広島の文化に気軽に触れられる場所」としてシェラトンが地域に根付いていけたらと思っています。
ー今どんどん変わっているこの広島駅周辺ですが、ここは変わってほしくないなという事はありますか?
広島に限らずですが、日本独自の文化や優しさとか親切といった習慣ですね。例えば我々の協議会の“おもてなし部会”でも清掃活動をおこなったり、ハローヒロシマプロジェクトのガイドボランティアに協力したりしていますが、そういう日本人たる親切な気持ちとか、おもてなしっていうのは変わってほしくないですね。
あとはエキニシの古い飲食街や、二葉の里の神社巡りなどは、日本らしさ広島らしさがあって良いですよね。
広島駅周辺地区まちづくり協議会 清掃活動の模様
ー山本さんの広島駅周辺でのお気に入りの場所をご紹介いただけますか?
もちろんシェラトングランドホテル広島ですね。
特に6階の「&More by Sheraton」は先ほどお話したシェラトンのブランドスタンダードである“World gathering place”を象徴する場所です。
あそこはテーブルと椅子を場所によって色々と変えています。来る人によって、また何度来られても座る場所によって楽しめます。グループでは奥のソファー、カップルだったら2人席、ビジネスミーティングだったら4人テーブルといった様々な場所があります。まさにその“World gathering place”という名のごとく色々な人が色々な目的で来て楽しめるラウンジです。先ほど紹介したイベントはここで行っています。
―先ほど伺いましたが心地よい場所でした。
ラグジュアリすぎずカジュアルすぎず、その中間の非常に落ち着く場所かと思います。
―本日はありがとうございました。最後に一言お願いいたします。
これからの広島は海外や国内各地からのお客様がますます増えていくと思います。広島駅周辺はそのハブの役割を担う“World gathering place”として世界中の人が集まる場所になってほしいですね。
シェラトングランドホテル広島
広島市東区若草町12-1
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